今朝の朝刊に
ドリアン助川さんの投書が載っていて
いたく共感。
ウクライナのオデッサ国際映画祭に、
私が原作小説を書いた映画『あん』が招待された。
クロージング・フィルムという名誉ある位置付けである。
だが、ウクライナ東部では紛争が続いている。
参加するかどうかで、みな迷った。
主演女優の樹木希林さんが言った。
『そんな状況だからこそ行ってあげたいのよ』
周囲の反対を押し切り、私を道連れに出発することになった。
よほど不安だったのか、
映画の製作委員会は私たちにテロ保険までかけてくれた。
ところが、2人でオデッサに着くと、街も人も驚くほど穏やかだった。
アジアからの参加者は私たちだけとあって、たいへんな歓迎を受けた。
映画『あん』もすこぶる評判が良かった。
上映後、拍手は鳴りやまず、観客は希林さんを囲んだ。
『口のなかまで泣いた』と告げに来た若い女性を、
希林さんがぎゅっと抱きしめたのが印象的だった。
言語や人種を超え、人の心が通い合った夜だった。
来て良かった。
積極的平和主義というものが本当にあるなら、
こういうことではないのかと思った。
大国の軍事になびく政治よりも、
私は文化交流こそこの国の基本姿勢であって欲しいと願う。
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