2014年8月19日火曜日

ヒトラーの防具

帚木蓬生さんの小説。
動乱の世でも誠実でありたいと思わされる名作。

誕生日に友人からプレゼントされる。
実は以前、読んだことがあったのだけど
時間も経っているし、ありがたく再読している。

自分は、読んでいて印象に残ったところがあると
ページの角を折るのだけど
今回の本と、以前の本をたまたま比べてみたら
見事に同じ!で、笑ってしまった。
感性は変わらないということか
成長していないということか。

そんな中、とりわけ私が共感する部分が
ドイツと日本の、戦争への向き合い方に関する文。
 
“日本には戦争の悲惨さの記念碑という広島と長崎がある。しかしそれは、単に自国が受けた被害の状況を残したものではないか。加害者としての自分の行為には目をつぶり、受けた傷だけを披瀝している点で、全く公正さを欠く。                     ドイツはそうではなく、正真正銘のドイツ人たるナチスが行ったユダヤ人狩りを記憶させる装置を、いたるところに残している。”

ドイツを歩かなかったら、
これほどまでに日本の方針や教育について
疑問を感じることもなかったろう。

それほどまでに、ドイツのそこかしこには
負の遺産が、強烈に、きちんと残されていた。
いっときの観光客にさえ、忘れてはならない、という思いが伝わったんだ。

今の日本、何をしたいのかよく分からない。
加害者と、被害者
両方の立場での事実を残していかないと
きっとまた、この国はくりかえす。

戦争を経験した人たちも高齢に。
加害者としての行為を口にするのは
被害を語るよりずっと難しいだろう。

でも責めないよ。誰も責める資格はない。
戦時下の狂気の状況で、自分を保てる人は多くないだろう。
誰でも簡単に凶悪になりえる。
だから、こんなひどいことも日本人はしたんだよ、と
もっと多く真実を語ってほしい。
今後のために。

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